バイオマス事業、現状の課題

これまで国が進めてきた「バイオマス・ニッポン総合戦略」の持つ課題には、根本的なビジネスの視点が欠けていた、と思わざるを得ません。

ビジネスモデルの欠落

一般的なビジネスの世界では、「商品が持つ力」、「誰が買うのか」を明確にします。バイオマスの場合、「入口=商品」の部分で、「燃料を長期的に安定的に調達する」「収集、運搬コストを低減化」との課題がありました。
さらに、「出口=エネルギーの効率的利用」の課題もあります。つまり、買う人、の存在が明確になっていません。エネルギーを買う市場の構築ができないまま、バイオマス発電計画が進められているのです。
数年前、東海地方で木材チップが品薄になったことがあります。これは、地元のバイオマス発電所と、パルプ加工場や食品加工場などとの間でチップの取り合いになったからです。パルプ加工場では、チップを燃やし高熱を得ます。その結果、チップの価格が高騰し、バイオマス発電事業にとって採算の上では致命的です。

木材チップの写真

バイオマス発電で発生する熱エネルギーを、これらの地元産業で使えれば、相互利用となり補完できます。しかし、現状の発電所で熱エネルギーを効果的に取り出し、他で利用できる設備はありません。
バイオマス発電の計画段階から、熱利用を外部で活用できるプランであれば、地域との連携を図る産業となれます

工場設備の写真

灯油や石油価格が高騰する状況であれば、熱利用の代替燃料としてバイオマス活用、及び地域住民の光熱費の低減をも図ることができます。熱利用は、バイオマスにとって不可欠です。

新制度FITの導入と課題の見直し

これらバイオマスがなかなか発展しない中、政府は2012年に再生可能エネルギー電力の固定買取制度(FIT)が始まりました。これは、再生可能エネルギーによって発電した電力を各電力会社が買い取る制度です。
しかし、この制度も現状のバイオマス利用促進にまだ不完全との声もあります。その中には、「バイオマスからの熱供給に対してもっと優遇措置を取り入れるべき」「森林保全、地域活性化のために、小・中規模の発電所の電力買取価格を上げることがバイオマス促進につながる」との声があります。

バイオマス発電 固定買取制度

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