「出口」を見据えた事業

バイオマスの課題にあった「出口」、事業を始めてもそのエネルギーを誰が買うか、が明確にならなければ継続性は見込めません。需要を見据えた事業化の例があります。

発電とはかぎらない

岩手県紫波町で2014年7月から、町内の木質チップを使った熱供給事業が始まりました。発電はせず、熱を民間住宅や商業施設、町庁舎に供給しています。木質バイオマスを使った本格的な地域熱供給事業は、全国でも初の試みとなります。

焼却の写真

導入した燃焼ボイラーのエネルギー効率は最大86%。発電として利用しようとすると10~20%に下がります。電気のほうが、買取制度や使い勝手が良さそうですが、熱としての需要が近隣にある場合は、効率的にすぐれたバイオマス利用ができます。夏場は、吸収式冷凍機を使って温水から7℃の冷水を作り、冷房に利用します。
2015年には近隣の町庁舎への供給や、町内の分譲した住宅57棟や保育園などの民間施設に供給が広がる計画を進めています。

身の丈の事業計画

燃料として必要な年間1300トンの原木は、岩手中央森林組合と地元の製材業者が担当します。さらに、地元の住民が「間伐材を運び隊」を結成、運び出した原木を地元加工業者が買い取ってチップ化。さらに熱供給業者が購入と、地元住民、業者が循環したビジネスモデルが出来上がりました。

原木の写真

分譲住宅は町内の木材を80%以上使用し、エネルギー消費量を一定基準に抑えたエコ住宅として売り出しました。住宅では、冷暖房の燃料にバイオマスかガスかを選択することができ、平均的な家庭であればガスを使った場合と比べ、年間約6万円の節約になります。

地元への経済効果もあり、チップ販売、雇用者、固定資産税を含めた紫波町の年間収入は約1300万円と試算されています。

当初、紫波町の計画段階では、発電事業も同時にスタートさせて、再生可能エネルギー固定買取制度(FIT)を利用して収入拡大の意見もありました。
しかし、発電設備による投資額増大や、稼働後の維持保守経費、原料の木材を安定供給させるために町外や外国からチップ導入など、支出増のリスクが増えます。何より、町の活性化にプラスにならないと判断されました。紫波町は身の丈にあったバイオマスの道を選びました。

地域との連携の仕方(北海道・鹿追町その1)/

バイオマス発電 に関する記事